うだるような暑さが続く日本の夏。熱中症対策として、水分補給は欠かせませんね。特に運動時や屋外での活動では、手軽にエネルギーと水分を補給できるスポーツ飲料を愛飲されている方も多いのではないでしょうか。
しかし、このスポーツ飲料を含む甘いドリンク類の摂りすぎが、思わぬ健康リスク、「尿酸値の上昇」につながる可能性があることをご存知でしょうか?
「尿酸値」と聞くと、ビールや肉類、魚卵などを思い浮かべる方が多いかもしれません。もちろん、それらの食品も尿酸値を上げる要因ですが、実は甘いドリンク類、特に果糖ブドウ糖液糖などが含まれるスポーツ飲料や清涼飲料水にも注意が必要なのです。
なぜ甘いドリンクが尿酸値を上げるの?
その鍵を握るのは「果糖」です。
スポーツ飲料や清涼飲料水には、エネルギー源として「ブドウ糖」の他に「果糖」や「果糖ブドウ糖液糖」が多く含まれています。この果糖は、体内で分解される過程で「尿酸」を生成するプリン体を増やすことがわかっています。
具体的には、果糖が肝臓で代謝される際に、体内のエネルギー通貨であるATP(アデノシン三リン酸)を大量に消費します。このATPの消費によって、尿酸の原料となるAMP(アデノシン一リン酸)という物質が増え、結果として尿酸の産生が促進されてしまうのです。
さらに、ブドウ糖を過剰に摂取し続けると、血糖値の上昇に伴って**インスリンが過剰に分泌される「高インスリン血症」**を引き起こすことがあります。インスリンには、腎臓での尿酸の排出を妨げ、体内に再吸収してしまう作用があるため、尿酸値が上昇しやすい状態を作り出してしまいます。長期的に見ると、肥満やインスリン抵抗性も尿酸値上昇のリスクを高める要因となります。
尿酸値が高いと何が悪いの?
尿酸値が高い状態が続くと、「高尿酸血症」と診断されます。高尿酸血症は、激しい痛みを伴う「痛風」の原因となるだけでなく、腎臓病や動脈硬化、心臓病といった生活習慣病のリスクも高めることが指摘されています。
特に、夏場は汗をかくことで体内の水分が失われ、尿が濃縮されるため、尿酸が排出されにくくなり、尿酸値が上昇しやすい時期でもあります。
夏場のドリンク摂取のポイント
熱中症対策としての水分補給は非常に重要です。しかし、やみくもに甘いドリンクを摂るのではなく、以下の点を意識して水分補給を行いましょう。
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1.基本は「水」または「お茶」: 喉の渇きを感じたら、まずは水やお茶を選びましょう。
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2.スポーツ飲料は「必要な時に少量」に: 大量の汗をかいた後など、電解質の補給が必要な場合に限り、スポーツ飲料を上手に利用しましょう。常飲は避け、薄めて飲むなどの工夫も有効です。
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3.甘い清涼飲料水は控えめに: 日常的な水分補給としては避け、特別な時に楽しむ程度にしましょう。
健康的な夏を過ごすために、水分補給の質にも目を向けてみませんか?
ご自身の尿酸値が気になる方は、どうぞお気軽に美馬内科クリニックにご相談ください。定期的な健康診断でご自身の状態を把握し、適切な対策を講じることが大切です。