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2023.03.01

ビタミンCの歴史

 

 

ビタミンCの歴史について触れてみたいと思います。

ビタミンCの発見は、16-18世紀の大航海時代において、大勢の船乗りたちに発症した、壊血病(ビタミンCの欠乏により、易疲労感、けん怠感、歯肉の腫れと出血、関節痛、創傷治癒の遅延、毛髪異常などの症状が見られ、重症の場合は死に至る)と関連があります。この時代の船には冷蔵庫などの設備はなく、新鮮な野菜や果物を長期に保存しておくことができませんでした。

1600年代に、英国東インド会社の医務長官、ジョン・ウッドールは、医学的裏付けはありませんでしたが、壊血病の発症予防目的でレモン、オレンジ、ライムなどの柑橘類の摂取を奨励しました。以来、英国海軍では、ラム酒にライムを入れて飲むようになり、壊血病の発症予防や改善に効果をあげています。

このことを受けて、1747年に英国海軍医師のジェームズ・リンドは、柑橘類の壊血病に対する効果を明らかにするための臨床試験を行いました。壊血病の水夫12名を2名ずつの6グループに分け、それぞれのグループに異なる種類の食事を与えたところ、オレンジやレモンなどの柑橘類を与えられたグループの壊血病患者の症状はほぼ完治しました。でも、この時点では、壊血病の発症を抑える成分の特定には至っていませんでした。

1919年になって、生化学者のジャック・ドラモンドにより、オレンジ果汁に含まれる壊血病予防因子が特定され、「水溶性因子C」と名付けられました。翌年1920年になってから「水溶性因子C」は、われわれの知るところの「ビタミンC」と呼ばれるようになりました。1933年にはウォルター・ハースによりビタミンCの構造式が明らかにされ、「アスコルビン酸」と命名されました。

余談ですが、2006年以降に先進国で報告された壊血病患者は、日本人も含めて20名以上になります。